thatgamecompanyについて
thatgamecompanyは、2006年5月にアメリカのカリフォルニア州サンタモニカで設立されたゲーム開発企業です。創業者は中国・上海出身のゲームデザイナーであるジェノヴァ・チェン氏で、わずか25歳の時に遠い異国の地でゲームクリエイターとしてのキャリアをスタートさせました。同社は現在、世界中で高く評価されるゲーム開発スタジオとして知られています。
thatgamecompanyの本社はカリフォルニア州に置かれており、日本にもthatgamecompany Japan合同会社として現地法人を設立しています。同社の専門分野はビデオゲームデザイン、アーティスティックなビデオゲーム、そしてビデオゲームイノベーションであり、これらの分野で業界をリードする存在となっています。
企業のミッションと経営理念
thatgamecompanyが掲げるミッションは、「ポジティブな感情体験で世界中の人々をつなぎ、色あせることのない、世代を超えたエンターテインメントを創造する」というものです。このミッションは、同社が開発するすべてのゲームの根底に流れており、企業文化の中核をなしています。
同社は「全ての人たちが一緒に遊ぶことのできるゲームづくり」を目標に掲げており、年齢や性別、言語の違いを超えて、誰もが楽しめるゲーム体験の提供を重視しています。この理念は、スマートデバイスの普及により家族全員が個別のスクリーンを所有できるようになった現代社会において、より一層重要な意味を持つようになりました。
経営陣は、ゲームをする体験がより多くの人々の日常生活に浸透していくことを目指しています。映画を見ることが生活に自然に組み込まれているように、ゲームをプレイすることも日常会話の一部となるような社会の実現を夢見ています。
事業内容と展開
thatgamecompanyの事業内容は多岐にわたります。スマートフォンゲームの企画・開発・運営・配信・宣伝を行うとともに、コンソールゲームの企画・開発・販売・宣伝も手がけています。同社は単なるゲーム開発企業ではなく、ゲームを通じた包括的なエンターテインメント体験の提供を目指しています。
同社の代表作には、2007年の『flOw』、2009年の『Flowery』、そして『風ノ旅ビト』などがあります。これらの作品は、インディゲーム業界の発展に大きな貢献をしており、2010年代に勃興したインディゲーム・ムーブメントにおいて重要な役割を担ってきました。
Sky 星を紡ぐ子どもたちの概要
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は、2019年7月に公開されたソーシャルアドベンチャーゲームで、thatgamecompanyを代表する作品となっています。本作は全世界で2億7000万ダウンロードを超える大ヒットとなり、特に日本では女性層を中心に幅広い支持を集めています。App Storeの売上ランキングで10位以内に入ったこともあり、商業的にも大成功を収めています。
ゲームの舞台は、星座を形作っていた星々が落下してしまった空の世界です。プレイヤーは「星の子」となり、様々なエリアを飛び回りながら星の精霊たちを探し出し、空へ還すことを目指します。ゲームの目的は「雲の中の王国で目覚めた『星の子ども』となり、空から落ちた星々を天に還す」ことであり、シンプルながら深い意味を持つストーリーとなっています。
ゲームの特徴と魅力
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の最大の特徴は、繊細で優美な映像と音楽が彩る世界観です。絵画のように美しい世界観やキャラクターデザインが多くのファンを惹きつけ続けており、ビジュアル面での高い完成度が評価されています。
キャラクターデザインにおいては、「世界中の人々が遊べるものを作る」「世代を超えたエンターテインメントを作る」というミッションが強く反映されています。親子で一緒に遊ぶ機会が広がるようなデザインが意識的に採用されており、年齢を問わず楽しめるキャラクターが多数登場します。
サウンドデザインも本作の大きな魅力の一つです。2016年にthatgamecompanyに入社したリード・オーディオ・デザイナーが、印象的なサウンドデザインを手がけており、各エリアによって異なるサウンドトラックが用意されています。音楽と映像が一体となることで、プレイヤーに深い感情的な体験をもたらします。
ソーシャル機能とコミュニケーション
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は、オンラインマルチプレイに対応しており、他のプレイヤーとの協力や交流を行うことができます。同社は本作を「ソーシャルアドベンチャーゲーム」と称しており、ゲーム内での人間関係構築を重視しています。
ゲーム内では、言葉を超えた信頼関係を育み、思いやりを広げていくコンセプトが実装されています。世界中のフレンドとの交流を通じて、プレイヤーは人々が思い合ってつながっていく感情体験を共有することができます。このような設計により、ゲームは単なる娯楽ではなく、人間関係を深める手段となっています。
ビジネスモデルと課金体系
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は基本プレイ無料のアイテム課金モデルを採用しています。しかし、同社は一般的なモバイルゲームに見られるガチャ要素を意図的に排除しており、プレイヤーの公平性を重視しています。
売上は主にシーズンパックやフレンドとの交流を豊かにするアイテムの販売によって成り立っています。このビジネスモデルにより、プレイヤーは課金なしでも十分にゲームを楽しむことができる環境が実現されています。
プラットフォーム展開
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は、iOS・Android・Nintendo Switch・PlayStation・Steamなど、複数のプラットフォームで配信されています。この広範なプラットフォーム展開により、様々なデバイスを使用するプレイヤーが同じゲーム体験を楽しむことができます。
マルチプラットフォーム対応により、スマートフォンでプレイしているプレイヤーと家庭用ゲーム機でプレイしているプレイヤーが同じワールドで交流することが可能になっており、プレイヤーベースの拡大に大きく貢献しています。
社会貢献とサステナビリティ
thatgamecompanyは、ゲームを通じた社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。『Sky 星を紡ぐ子どもたち』では、チャリティイベントを定期的に開催し、ゲーム内アイテムの売上の一部を社会貢献団体に寄付しています。
環境問題への取り組みも顕著です。海洋のマイクロプラスチック汚染をテーマとしたイベントでは、「オーシャンネックレス」「オーシャンケープ」などのアイテムが販売され、売上から手数料を引いた額が海をきれいにする活動の支援に充てられています。また、「自然のウミガメパック」の売上全額が環境保護に寄付されるなど、継続的な支援が行われています。
人々の多様性に焦点を当てたイベントも開催されており、開催中には毎日フィールドのどこかに虹が現れるという演出が施されています。チャリティイベントとして行われた際には、装飾アイテムの売上から手数料を差し引いた79万4420ドル(約8800万円)がGlobal Fund for WomenとThe Trevor Projectの2団体に寄付されました。
環境面でのサステナビリティにも力を入れており、ゲーム内でチャリティアイテムを販売して海洋保護団体に寄付したり、ゲームのデジタル販売を推進して資源の削減を図ったりしています。ゲーム開発やパッケージングにおいても持続可能な方法を採用し、100%リサイクル素材の使用やカーボンフットプリントの最小化を実現しています。
グローバル展開と日本市場
thatgamecompanyは、グローバルな視点でゲーム開発を行いながら、各地域の市場特性に対応した展開を実施しています。日本市場に向けては、thatgamecompany Japan合同会社を設立し、現地に適応したマーケティングやカスタマーサポートを提供しています。
日本では『Sky 星を紡ぐ子どもたち』が特に女性層を中心に大きな支持を集めており、App Storeの売上ランキングで常に上位にランクインしています。日本市場での成功は、同社のグローバル戦略における重要な要素となっています。
開発チームと人材戦略
thatgamecompanyの開発チームは、世界中から優秀なクリエイターを集めた多国籍な構成となっています。ゲームデザイナー、アーティスト、プログラマー、オーディオデザイナーなど、様々な専門分野の人材が協力して作品を創造しています。
スタジオのビジョンからゲームデザイン、そしてアセットの制作まで、全ての要素が一気通貫していることが、同社の作品の高い完成度につながっています。各部門が密接に連携し、統一されたビジョンの下で開発が進められています。
メディア展開とグッズ化
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の人気の高さから、ゲーム以外のメディア展開も進められています。映画化も実現し、ゲームの世界観をスクリーンで表現する試みが行われています。
グッズ化も積極的に進められており、ガシャポンとのコラボレーションが実現しています。6周年と映画公開を記念した「カプセルラバーマスコット」第2弾など、ファンが喜ぶグッズが次々と登場しています。これらのメディア展開により、ゲームの世界観がより多くの人々に届けられています。
カスタマーサポート体制
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の運営には、充実したカスタマーサポート体制が整備されています。プレイヤーからの問い合わせや不具合報告に対応するため、専門のカスタマーサポートチームが配置されています。
カスタマーサクセスという視点に立ちながら、プレイヤーの満足度向上に努めています。ゲームの継続的な改善と運営を通じて、プレイヤーが快適にゲームを楽しめる環境の構築が目指されています。
今後の展望と継続的な運営
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は、2019年のリリースから長年運営されているモバイル向けのオンラインアドベンチャーゲームです。継続的なアップデートとイベント開催により、プレイヤーの興味を引き続けるための工夫が行われています。
thatgamecompanyは、ゲームを通じた人間関係の構築と社会貢献を両立させるという独特なアプローチを取り続けています。今後も、ポジティブな感情体験を提供し、世界中の人々をつなぐゲーム開発を継続していくと考えられます。
まとめ
thatgamecompanyは、2006年の設立以来、ゲーム業界において独自の地位を確立してきた企業です。「ポジティブな感情体験で世界中の人々をつなぎ、色あせることのない、世代を超えたエンターテインメントを創造する」というミッションの下、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』をはじめとする高品質なゲーム作品を生み出してきました。同社は、ゲームの商業的成功だけでなく、社会貢献やサステナビリティにも力を入れており、ゲーム業界の未来を示す企業として注目されています。
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』を生んだthatgamecompany──2億7千万DLと社会貢献で示すゲームの新潮流をまとめました
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』を開発・運営するthatgamecompanyは、単なるゲーム開発企業ではなく、人々の心をつなぎ、ポジティブな感情体験を提供することを使命とする企業です。2億7000万ダウンロードを超える本作の成功は、同社の理念と実行力の証であり、今後もゲーム業界をリードしていくことが期待されています。プレイヤーとの関係構築、社会貢献、サステナビリティの実現を通じて、thatgamecompanyは新しい時代のゲーム企業の在り方を示し続けています。














