はじめに
アメリカ軍の特殊部隊の中でも、特に有名で高い能力を持つ二つの部隊があります。それが陸軍のデルタフォースと海軍のネイビーシールズです。どちらも世界的に見ても最高水準の訓練を受けた精鋭部隊として知られていますが、その成り立ちや任務内容、訓練方法には大きな違いがあります。本記事では、これら二つの特殊部隊の特徴や違いについて、詳しく解説していきます。
デルタフォースについて
デルタフォースの成り立ちと背景
デルタフォースはアメリカ陸軍に属する極秘の特殊部隊です。当初、グリーンベレーとネイビーシールズは野外戦闘を得意としていましたが、ハイジャック対策や対テロ作戦といった室内中心の戦闘には十分に対応できていませんでした。このような課題を解決するため、野外戦闘と室内戦闘の両方に対応できる新しい部隊が必要とされるようになりました。そこで、グリーンベレーをベースにして、デルタフォースが設立されたのです。
デルタフォースの主な任務
デルタフォースの主な任務は、テロリストに対する直接的な攻撃です。テロリストへの攻撃や首謀者の暗殺など、対テロ戦を目的とした活動を遂行しています。この点で、グリーンベレーが現地民を親米化し戦力として確保することをメインとしているのとは大きく異なります。デルタフォースは命令があれば世界中のどこへでも出動する能力を持っており、平時には所属するフォート・ブラッグ基地で待機しながら、日々極秘の訓練に明け暮れています。
デルタフォースの選抜と構成
デルタフォースの隊員は、アメリカ全軍から募集されています。主に陸軍の第75レンジャー連隊やグリーンベレーから選抜されていますが、興味深いことに、元ネイビーシールズ隊員が選抜されることもあります。選抜試験に落第した場合は、原隊に復帰することになります。このように、デルタフォースは複数の部隊から最高の人材を集めることで、その能力を維持しているのです。
デルタフォースの訓練
デルタフォースの訓練内容については、その極秘性から詳細は明かされていませんが、米軍さらには世界の軍隊の中でも最も高度な訓練を受けていることが知られています。野外戦闘と室内戦闘の両方に対応するため、多岐にわたる訓練が実施されていると考えられます。銃器の取り扱いから爆発物の処理、精密射撃、隠密作戦に至るまで、あらゆる戦闘シーンに対応できる能力を身につけることが求められます。
ネイビーシールズについて
ネイビーシールズの特徴と任務
ネイビーシールズはアメリカ海軍の特殊部隊で、その任務は非常に多岐にわたります。敵地の偵察、ターゲットの暗殺、友軍の救出など、グリーンベレーとデルタフォースを合わせたような幅広い任務を遂行しています。ゲリラ戦、偵察、敵地への少数潜入、対テロ戦など、あらゆる作戦に対応できる柔軟性を持っています。まさに名前の通り、あらゆる方法で潜入し、あらゆる場所で活動ができるわけです。
ネイビーシールズの水中適応訓練
ネイビーシールズの最大の特徴は、水への適応訓練に力を入れていることです。隊員たちは「水中でも地上と同じように過ごせるレベル」まで鍛え上げられます。訓練の具体的な内容としては、両手両足を縛られたまま専用のプールに投げ込まれたり、夜間に視界がゼロの水中を泳ぐ訓練などが行われます。このような過酷な訓練を通じて、隊員たちは水中での活動能力を極限まで高めていくのです。
ネイビーシールズの多様な活動方法
ネイビーシールズはパラシュート降下訓練も受けているため、高高度を飛行する輸送機からパラシュートで降下して敵地に潜入することができます。また、潜水艦から専用の小型潜水艇で発進して上陸作戦を行うことも可能です。このように、海、空、陸のあらゆる環境での作戦遂行能力を持つことが、ネイビーシールズの大きな強みとなっています。
ネイビーシールズの入隊訓練
基礎訓練の厳しさ
ネイビーシールズの入隊訓練は、世界的に見ても最も過酷な訓練の一つとして知られています。基礎訓練の最終段階では、地上戦訓練が行われます。この訓練では、銃器や爆発物の取り扱いをはじめ、精密射撃、偵察、ロッククライミング、隠密作戦など、非常に幅広い内容が含まれています。
ヘルウィーク(地獄週間)
特に厳しいのが「ヘルウィーク」と呼ばれる地獄週間です。これは4週間目から1週間にわたって行われる訓練で、5名から7名ほどのチームで開始されます。期間中、隊員たちはさらに厳しい状況に追い込まれていきます。海岸で濡れたまま長時間打ち寄せる波に浸りながら冷たさに耐える訓練など、肉体と精神の両面に対する極限の試練が課せられます。この段階で、脱落者は合計8割を超え、残っているものは2割にも満たないほどです。
空挺降下訓練とSEAL資格訓練
基礎訓練が終わった後は、最終訓練に突入します。まずは空挺降下訓練が行われ、降下と着地の技術をひたすら学び、空挺降下資格者を目指します。その後、SEAL資格訓練へと進みます。ここでようやく、SEALsらしい特殊部隊訓練が本格化します。訓練の内容は、通信技術の習得、近接戦闘、狙撃や空挺降下のレベルを引き上げることなど、これまで候補生だったものを一人前にするための訓練が施されます。
新米隊員の能力
新米でも所有している能力は、高水準の体力とチームワークを優先できるメンタル、そして忍耐力と根性、高度な潜水技術や水中工作技術に加え、地上戦闘術や空挺降下技術など、多岐にわたります。名前だけ聞けば最強の兵士のような雰囲気ですが、ここから更に鍛えて、語学力や応用技術を学んでいくのです。
デルタフォースとネイビーシールズの比較
任務内容の違い
デルタフォースとネイビーシールズの最大の違いは、その任務内容にあります。デルタフォースはテロリストに対する直接的な被害を与える任務がほとんどであり、対テロ戦に特化しています。一方、ネイビーシールズの任務は非常に様々で、偵察から暗殺、救出作戦まで、幅広い内容を担当しています。デルタフォースがより専門的で限定的な任務に対応するのに対し、ネイビーシールズはより多目的で柔軟な対応が求められるのです。
選抜と配置の違い
デルタフォースはアメリカ全軍から募集されており、複数の部隊から最高の人材を集めています。一方、ネイビーシールズはSEALs内部から選抜される場合と、最初からSEALsを目指して入隊する場合があります。また、デルタフォースの選抜に落第すると原隊復帰になりますが、ネイビーシールズの場合、DEVGRUという対テロ特殊部隊への選抜に落第してもSEALsに留まることができるという違いがあります。
訓練方法の違い
ネイビーシールズは水中での活動能力を極限まで高めることに重点を置いており、過酷な水中訓練が特徴的です。一方、デルタフォースは野外戦闘と室内戦闘の両方に対応するため、より多岐にわたる訓練が実施されていると考えられます。どちらも世界的に見ても最高水準の訓練を受けていますが、その重点の置き方には違いがあるのです。
実戦での活動
デルタフォースの実戦経験
デルタフォースは、その設立以来、多くの対テロ作戦に参加してきました。テロリストの首謀者の暗殺や、テロ組織の拠点への直接攻撃など、極めて危険で重要な任務を遂行してきた歴史があります。その極秘性から詳細は明かされていませんが、世界中の紛争地域で活動してきたことが知られています。
ネイビーシールズの実戦経験
ネイビーシールズも多くの実戦経験を持っています。陸軍のデルタフォースと共にタスクフォース11を結成し、ターリバーン政権打倒に向けた作戦に参加した歴史があります。また、敵地での偵察任務や救出作戦など、多様な実戦経験を積んできました。これらの経験を通じて、ネイビーシールズは多目的な対応能力をさらに磨いてきたのです。
DEVGRU(デブグル)について
DEVGRUとは
DEVGRU(Development Group)はアメリカ海軍の特殊部隊「SEALs」を母体とした対テロ特殊部隊です。SEAL Team6として発足しつつも、JSOC(統合特殊作戦司令部)指揮下に置かれています。デルタフォースと同様に、対テロ作戦に特化した部隊として機能しています。
DEVGRUの選抜
DEVGRUは同じ海軍特殊部隊SEALsの中から選抜されます。デルタフォースの場合、選抜に落第すると原隊復帰になりますが、DEVGRUに落第してもSEALsに留まることができるという特徴があります。これは、SEALs内部での選抜という性質を反映しているのです。
まとめ
デルタフォースとネイビーシールズは、どちらもアメリカ軍の最精鋭特殊部隊であり、世界的に見ても最高水準の訓練を受けています。デルタフォースはテロ対策に特化した陸軍の部隊であり、ネイビーシールズは多目的な海軍の部隊という基本的な違いがあります。デルタフォースは室内戦闘と野外戦闘の両方に対応するために設立され、ネイビーシールズは水中での活動能力を極限まで高めることに重点を置いています。それぞれの部隊は、その特性を活かして、異なる任務を遂行しており、アメリカ軍の防衛体制を支える重要な役割を果たしているのです。
デルタフォース vs ネイビーシールズ:成り立ち・任務・訓練の違いを徹底比較をまとめました
デルタフォースとネイビーシールズについて理解することは、現代のアメリカ軍の特殊作戦能力を知る上で非常に重要です。これら二つの部隊の違いを理解することで、特殊部隊がどのような役割を果たしているのか、そしてなぜ複数の特殊部隊が必要とされるのかが明確になります。デルタフォースの対テロ戦への特化と、ネイビーシールズの多目的な対応能力は、相互に補完し合う関係にあり、アメリカ軍の防衛戦略の中で重要な位置を占めているのです。














